吉備祭観劇記

10月31日(木)曇り 午後5時40分開場少し前会場着。 
仕事を定刻ダッシュで一路吉備津彦神社に飛ばしたカイがあった。
スタッフが駐車場での整理、客席の準備、最終チェックなど慌ただしく動いてる。
舞台周りのチェックは見たことのある顔が多い。(劇団関係者)しかし、見るからに地元もオジサン、オバサンも
頑張っている。そうだ、これは町の祭りなんだ。

去年は芝居を2夜連続で行ったそうです。
今年はその話を2時間に外舘氏が脚色し、地元の人、演劇関係者、そして秘宝の方々によって
吉備津彦神社境内特設舞台にて公演されます。
最高のロケーションでした。神社もセットの一部で使い、人の出入り、特殊効果など演出担当の外舘氏の
手腕が冴える。曲も生演奏でより臨場感がアップ!
演目(古い?)は勿論 温羅と吉備津彦命話です。http://www.harenet.ne.jp/kibitujinja/sinwa.htm 参照。
神話とは違う部分があるが、だって神話だもん。誰も見てないでしょ!とどこからか声がしますが
美味しい部分をピックアップして、多少は脚色し、見応えのあるお話になりました。

その風貌で人の噂によって恐ろしい怪物にしたてられた温羅と吉備の地で愛する者を失った吉備津彦命。
白色の矢と桜色の矢との兄弟愛、温羅と吉備津彦命との無駄な戦を止めさせようとした使命感。
2本の矢を作ってしまい、運命に惑わされる職人と愛する妻と子。
その風貌にとらわれず温羅の本心知り、愛したアゾメ。
かぶりモノで子供の人気をさらった、らくだの中川さん。
ポイントで登場してくる「大いなる愛・母なる地球。」
そしてこの物語で一番の悪者、吉備津彦命の従者。
こいつが戦いが無意味な事を書かれた手紙を吉備津彦命に渡せばいいのに一読して破り捨ててしまった。
この瞬間、会場はため息まじりの声に包まれました。

その後、温羅の霊が吉備津彦命の前に現れ、自分の本心を告げると無駄な戦いであったことが判り
温羅の分までこの地を守り抜くことを決めた吉備津彦命・・・。
めでたし、めでたし。
そしてラストは秘宝なら踊りでしめますが、エミーさんの歌で締めくくりました。
タイトルは「楽園」

原作者の小野氏は遺影でカーテンコールに出ました。
本番10日程前、交通事故でこの世から去りました。吉備津彦命を演じる予定でしたが
急遽、住吉氏が参加することになったのには、こんな訳がありました。
小野氏の望んだ「楽園」はこの世にはないのか?そんな悔しい気持ちで遺影を見ていました。

抜群のロケーション、地元の人々の献身的なサポート、素敵な生演奏を聴かせてくれた吉備津彦バンド(勝手に命名)
不幸な出来事にも負けずに作者の願いを届けようとしたキャストの方々。
やはり秘宝連は良かったです。元気なおまめちゃんの白色の矢(今はフリー)百合音ちゃんの可憐な桜色の矢
急遽決まったにも関わらず存在感を魅せたスミーの吉備津彦命。
そして脚色・演出で才能を発揮した岩ちゃん(今はフリー)

そんな素晴らしい人達と時間を共有出来たことに感謝します。


                           文責:山中 純